医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例パンパースのスマートおむつ Lumi - CES 2020 から

パンパースのスマートおむつ Lumi – CES 2020 から

ラスベガスで開催されたデジタル製品見本市 CES 2020で、スマートおむつ「Lumi by Pampers」が発表された。ベビー用品業界では睡眠時間の監視などを行うデジタルデバイス、いわゆるコネクテッド製品が流行となっている。GRAND VIEW RESEARCHによると、Smart Diapers(スマートおむつ)の世界市場規模は、2018年に7.3億ドル、年平均成長率は2019-2025年で6.5%の試算がある。

International Business Timesが「Lumi by Pampers」を紹介するところでは、おむつにベルクロでとりつけられるセンサーがおむつの濡れを親に通知し、あわせて室内の温度・湿度を測定、小児科医監修のもとに開発されたセンサーが赤ちゃんの睡眠パターンを記録して、眠りのルーチンを確立できるよう手助けする。Lumi by Pampersは349ドルでWEBサイト上での購入となる。

パンパースのスマートおむつに対して、それは必要なものか?という指摘はある。従来から機能としてある濡れで変色するおむつのラインの色であったり、あかちゃんの泣き声や様子で保護者は敏感におむつの濡れと汚れを察知する。パンパースの広報担当者によると「おむつの濡れを通知するのは機能のひとつにすぎません。親たちは排泄のアラームそのものを強く要求したわけではありません。今日のスマートウォッチのようなものが望まれていたのです」と語った。

スマートおむつが赤ちゃんにとってどれだけ必要なものなのかは、今後の市場動向が証明するであろう。一方で、高齢者のおむつにも目を向けた場合には、介護業界の慢性的な人手不足が大きな需要を生む可能性もある。特に介護度の高い高齢者や重症患者では長時間の臥床とあいまって、おむつ内の排泄物による皮膚トラブルが後を絶たずQOLの低下にもつながる。スマートおむつに対する注目は続くだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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