カナダ・マギル大学を中心とした研究チームは、血液サンプルから遺伝子発現を解析することにより、アルツハイマー病やハンチントン病といった神経変性疾患の重症度と進行の程度を予測するAIアルゴリズムを開発した。研究成果は学術ジャーナル・Brainに先週公開された。
チームの研究論文によると、1969例に及ぶ神経変性疾患患者における遺伝子発現データを利用し、アルゴリズムの構築を行ったという。教師なし学習によってトレーニングされたこの機械学習アルゴリズムは、神経変性疾患の重症度などを強力に予測していたことから、治療法選択に際する重要な情報をもたらす可能性が指摘されている。さらに、脳細胞サンプルで特定された多数の進行関連遺伝子のうち、このアルゴリズムは85-90%を血液サンプル単独でも特定できており、神経変性疾患の進行予測に関して血液検査の潜在的有効性が示唆されたことになる。
なお、本研究に利用された全てのデータは、3つの主要なソース(ROSMAP Study、HBTRC、ADNI)から収集されており、いずれもが科学研究利用を目的に一般公開されたデータベースとなっている。