医療におけるAIの活用は急速に進むが、放射線医学、特に画像診断領域における適用は他領域に先駆けた展開を見せている。そういった中、放射線科医の観点から、AIの可能性を無駄にしないための方策が提言されている。
Canadian Association of Radiologists Journalに掲載された論文によると著者らは、放射線医学におけるAIの安定成長を念頭に3つの課題を指摘している。
1. 統合された医療データリポジトリの必要性
適切にラベル付けされた、画像および臨床情報を網羅するデータセットが不足する。世界的にも匿名化された医療画像データセットは増えているが、患者属性や他の臨床情報に紐づけられた大規模なデータベース構築はまだ限られている。
2. プライバシーへの更なる配慮
データセット設定のあらゆるステップで、個人情報の削除が求められる。現時点で同一地域内であってさえ、データストレージの手段は個々に大きく異なる。各センターのニュアンスに適応する「カスタマイズされたプライバシー保護」を実現するには、放射線科医と情報技術部門、データサイエンティストらの協調した取り組みが有効になる。
3. 透明性確保
医療者の多くは「自らが完全には理解していない技術」を懐疑的にみる。これは医療におけるAI実装が、グローバルレベルで直面する課題のひとつでもある。AIの意思決定プロセスを可能な限り透明化するとともに、独自アルゴリズムであっても、そのパフォーマンスを他の研究者が再現できるようにしておくことが重要となる。