米国での抗うつ薬の使用量は約10年で65%増加したという国民健康栄養調査データがある。増加する薬物療法に対して、うつ病の根幹の理解を深め、治療法を評価することがますます重要となってきている。学術誌Nature Biotechnologyに機械学習アルゴリズムでうつ病薬物療法の効果を予測する研究が発表された。
ScienceDailyでは、テキサス大学サウスウェスタンを中心とした同研究について紹介している。300人以上のうつ病患者を対象に、プラセボ群と治療薬SSRI群を無作為割り付けし、脳波データから機械学習アルゴリズムを開発。2ヶ月以内に薬物治療効果が発揮される患者を予測するのを可能にしたという。薬物治療への反応性が疑わしい患者は、心理療法や電気刺激療法で改善する可能性が高いことも示唆されている。
研究グループの精神科医Madhukar Trivedi氏によると「どの治療法がどの患者に適しているか初期段階で特定したほうが良いのではないか」という考えが研究の発端と言う。これまでMRI画像データ解析など様々な治療効果予測方法が研究されてきたなかで、脳波は最も一般的に使用されるツールになるだろうとTrivediは述べている。広く全米でとられている脳波検査データと統合し、開発されたAIインターフェースのFDA承認をプロジェクトは目指している。「抗うつ薬が効くのか」という患者の根本的な不安が解消される日がAIによって一歩近づいたことを感じさせる新研究である。