医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例「Emerald」COVID-19患者を遠隔で見守る - MITのリモートセンシング技術

「Emerald」COVID-19患者を遠隔で見守る – MITのリモートセンシング技術

新型コロナウイルス患者の治療にあたる医療従事者にとって、二次感染のリスクはゼロに近づけたい。MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)で開発された装置「Emerald(エメラルド)」はCOVID-19患者の遠隔モニタリングに貢献している。

CSAILのニュースリリースでは、AIによって環境中の無線信号を解析する壁掛けのボックス型装置エメラルドについて解説動画付きで報じている。患者の部屋に設置された装置は、呼吸数などバイタルサイン・睡眠・歩行速度のような情報を環境中から遠隔で取得する。例として、感染で増加傾向にあった呼吸数が基礎的呼吸数18回/分程度に減少したり、すばやく室内歩行できるようになったデータは、回復の兆候と解釈できる。開発チームはボストンの病院や介護施設においてCOVID-19患者とそれ以外の双方での実証研究を重ねている。

感染が明らかでなくても、高齢者や基礎疾患をかかえるハイリスクの人々にとって、本来、健康管理に必要なあらゆる人的接触を今後どうするか。医療従事者と患者の互いにとって悩ましい課題となっている。対象者に触れることなく情報を取得するリモートセンシング技術は、新型コロナウイルスの脅威下においてその必要性を高めていくのかもしれない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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