脳腫瘍の一種であるグリオーマは現在、WHO2016年分類によって悪性度がグレード1(良性)〜4(高悪性度)までに分かれている。その悪性度をMRI画像から機械学習アプローチで予測して分類する研究が、京都大学の物質-細胞統合科学研究所 アイセムス(iCeMs)のグループから学術誌IEEE Accessに発表された。
京大iCeMsのニュースリリースによると、研究グループが開発した機械学習アルゴリズムはグリオーマのMRI画像を「グレード1&2(低悪性度)」と「グレード3&4(高悪性度)」に97%以上の精度で分類することができた。機械学習モデルにはランダムフォレストが用いられ、著者らは現時点での最高レベルの分類性能を達成したと主張する。腫瘍の悪性度で進行度や予後が左右されるグリオーマの特性に対し、MRIで行う非侵襲的な悪性度分類によって、手術前に臨床方針を立案するなどのメリットが期待されている。
グリオーマの遺伝子変異を組織生検前にMRI画像のみで特定するAI研究を以前にも紹介している(過去記事)。放射線医学において情報解析で診断効率と精度を高める研究分野は「Radiomics(ラジオミクス)」という造語で呼称されており、脳腫瘍領域においてもトレンドとして続くであろう。