医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例ぼやけた顔画像を60倍以上シャープに - 敵対的生成ネットワークによる革新的画像処理技術

ぼやけた顔画像を60倍以上シャープに – 敵対的生成ネットワークによる革新的画像処理技術

米デューク大学の研究チームは、不鮮明な顔画像を64倍までシャープにするAIツールを開発した。既存の手法ではオリジナルの解像度比で8倍までが限度であったとされ、革新的画像処理技術として大きな注目を集める。

デューク大学のニュースリリースによると、PULSEと呼ばれるこの新しい画像処理ツールは、教師なし学習の一手法である「敵対的生成ネットワーク(GAN)」を用いて構築された。「低解像度の画像に対して、以前に学習した高解像度の画像ピクセルと一致するものを推測して追加する」といった従来のアプローチではなく、「AIが生成した高解像度の画像例から、同サイズに縮小された場合に入力画像に類似しているものを探す」手法を取る。2つのネットワークのうち一方が顔画像サンプルを提示し、もう一方は本物と間違われる程に説得力があるものかを判断する。2つのネットワークを競合させて学習を進めることで、本物との違いを指摘できないほどに鮮明な画像を得ることができるというもの。

研究を率いたCynthia Rudin氏は「他の手法では処理不可能なレベルの、ノイズの多い低質な画像からリアルな画像を得ることができる」とし、ツールの有効性を強調する。また、この技術は理論的にあらゆる画像種に適用可能であり、医学から天文学に至るまであらゆる領域での応用が期待される。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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