肝細胞がんの主要な発生要因は、B型あるいはC型の肝炎ウイルスによる持続感染である。一方で「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓は、初期の悪性腫瘍による自覚症状をほとんど引き起こさない。エジプト・カイロ大学などの研究チームは機械学習を利用し、C型慢性肝炎に伴う肝細胞がんの予測モデルを開発した。
Computer Methods and Programs in Biomedicineに掲載されたチームの研究論文によると、4,423名のC型慢性肝炎患者からなるデータセットを用い、肝細胞がんの存在を予測するための重要なパラメータ特定と実際の予測モデルの構築を行ったという。結果的に年齢・AFP・ALP・アルブミン・総ビリルビンが肝細胞がんの存在と統計学的に関連することを示し、予測モデルではAUCで95.5-99%と高い識別精度を導いた。
肝細胞がん患者において良好な予後を得るためには、早期発見と早期治療介入が欠かせない。がんの進展が局所に留まる小さなものであれば、手術や肝移植による治療で治癒を望むことができる。肝細胞がんのハイリスク者と言える「C型慢性肝炎患者における高精度なスクリーニング手法の開発」は、患者・医療者にとっての大きな助けとなる。