電子タバコは健康への影響が不確実なままに急速な普及をみせている。ソーシャルメディアにはハッシュタグ #vaping(ベイピング)として露出を増やし、企業が自社製品の宣伝で若年層に積極的にリーチする点が問題視される。フィンランドのアールト大学の研究者らによって、Instagram(インスタグラム)の#vapingに関する画像投稿を機械学習で大規模に解析した成果が、学術誌 International Journal of Medical Informaticsに発表された。
同研究では、2019年6月1日から10月31日までに#vapingとしてInstagramに画像投稿された56万件あまりのデータセットに対して、教師なし機械学習法で特徴を抽出して分類した。画像の中で最大カテゴリである約40%は、ニコチンや各種化学物質を含むEリキッド(e-liquids)タイプであった。それら投稿の60%がビジネスアカウント関連からの投稿・シェアであった。約10%には人物が写っており、人物付きの画像にはいいね!とコメントの数から最も注目度が集まるカテゴリとして解析された。
Instagramユーザーの70%以上が35歳以下、35%以上が24歳以下ともいわれており、研究グループは若者を狙ったソーシャルメディア上での電子タバコのプロモーションを当局は強く規制すべきと主張する。米FDAはアンチベイピングキャンペーンを行い、FacebookとInstagramも広告規制の抜け穴となってきた「インフルエンサーによる影響力の強い電子タバコ関連の投稿」を禁止するルールを公表してきた。それでも電子タバコの人気と成長が続いているなか、公衆衛生向上のために何ができるだろうか。