医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例若者に蔓延する電子タバコ#vaping投稿をInstagramから機械学習で解析

若者に蔓延する電子タバコ#vaping投稿をInstagramから機械学習で解析

電子タバコは健康への影響が不確実なままに急速な普及をみせている。ソーシャルメディアにはハッシュタグ #vaping(ベイピング)として露出を増やし、企業が自社製品の宣伝で若年層に積極的にリーチする点が問題視される。フィンランドのアールト大学の研究者らによって、Instagram(インスタグラム)の#vapingに関する画像投稿を機械学習で大規模に解析した成果が、学術誌 International Journal of Medical Informaticsに発表された。

同研究では、2019年6月1日から10月31日までに#vapingとしてInstagramに画像投稿された56万件あまりのデータセットに対して、教師なし機械学習法で特徴を抽出して分類した。画像の中で最大カテゴリである約40%は、ニコチンや各種化学物質を含むEリキッド(e-liquids)タイプであった。それら投稿の60%がビジネスアカウント関連からの投稿・シェアであった。約10%には人物が写っており、人物付きの画像にはいいね!とコメントの数から最も注目度が集まるカテゴリとして解析された。

Instagramユーザーの70%以上が35歳以下、35%以上が24歳以下ともいわれており、研究グループは若者を狙ったソーシャルメディア上での電子タバコのプロモーションを当局は強く規制すべきと主張する。米FDAはアンチベイピングキャンペーンを行い、FacebookとInstagramも広告規制の抜け穴となってきた「インフルエンサーによる影響力の強い電子タバコ関連の投稿」を禁止するルールを公表してきた。それでも電子タバコの人気と成長が続いているなか、公衆衛生向上のために何ができるだろうか。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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