医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例網膜のAI解析でCOVID-19高リスクの基礎疾患スクリーニング - 印ムンバイ市

網膜のAI解析でCOVID-19高リスクの基礎疾患スクリーニング – 印ムンバイ市

COVID-19に対して高リスクとなりうる基礎疾患を持つ患者をAIで抽出する試みが、インドのムンバイで展開されている。同国のスタートアップ Radical Health-tech Private Limitedは、網膜画像の微細な変化からAIによって「非眼科疾患を含む併存疾患の有無」を検出するスクリーニング技術を有する。

インドの英字日刊紙 Hindustan Timesが26日に報じたところによると、Radical Health-techは6月から7月にかけてムンバイ市内15ヶ所で3,167人の網膜画像から基礎疾患スクリーニングを行った。1,255人に併存疾患が指摘され、その65%は自身の基礎疾患に気付いていなかった。緑内障と加齢黄斑変性が259人、糖尿病が188人、高血圧が376人、その他5人(喘息・黄疸・結核・尿路結石など)の疾患が発見された。3,167名はCOVID-19の重症化リスクとして、高リスク88名(2.78%)・中等度リスク713名(22.51%)・低リスク2,366名(74.71%)に分類された。

Radical Health-techの共同創設者 Rito Maitra氏によると、インドでは年に一度の健康診断を行わない人が多く、特に低所得者層を中心に自身の基礎疾患に気付いていない例が多数あるという。そのような患者らに、基礎疾患の意味を理解してもらい、今後の治療につながるカウンセリングを受けてもらうことには公衆衛生上の大きな意義がある。ムンバイ市はAIを社会的利益のために活用する非営利団体「Wadhwani Institute for Artificial Intelligence」と連携しており、同様の取り組みを今後も続けていく

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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