医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIロボットRobinが小児科入院の孤独を和らげる - 米UCLA Mattel Children’s Hospitalの導入

AIロボットRobinが小児科入院の孤独を和らげる – 米UCLA Mattel Children’s Hospitalの導入

小児科病棟入院によって家庭環境から引き離される子どもたちは精神的な健康面も危惧される。COVID-19のパンデミックで様々な面会制限が課され、入院環境の孤立度合いはさらに増している。その子どもたちの孤独と孤立を助けるため、アルメニア拠点のスタートアップExpper Technologies社によってAIロボット「Robin」が開発されている。

米UCLA Mattel Children’s Hospitalのニュースリリースによると、同病院は米国で初めてRobinを迎え入れ、子どもたちと交流しながら1年間の訓練期間を予定している。Robinの技術はAssociative memory(連想記憶)と呼ばれるものの構築を可能とした。子どもの表情を解釈して感情を認識し、過去の会話パターンを再現し反応性の高い対話ができる。

AIロボットRobinは、アルメニアのウィグモア診療所で4歳から12歳まで85人の子どもたちが参加した9週間の先行研究を経ている。その結果、子どもたちの喜びのレベルを26%増加、入院中のストレスレベルを34%減少させたという。UCLA Mattel Children’s HospitalのRobinプロジェクトのリーダーであるJustin Wagner医師は「物理的な隔離は必要ですが、子どもたちにとって隔離されているという感情は必要ありません」と語り、Robinとの交流を通じて子どもたちに接触・注意力・交際力を提供したいと考えている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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