イスラエルのテルアビブ大学やZebra Medical Vision、米ユタ大学などの共同研究チームは、低線量CT画像を解析するAIアルゴリズムを利用し、心血管疾患リスクを推定できるとする研究成果をまとめた。
オープンアクセスジャーナルのPLOS ONEに3日掲載されたチームの研究論文によると、The National Lung Screening Trial(NLST)と呼ばれる低線量CTによる肺がんスクリーニング研究の患者データベースを用い、レトロスペクティブに解析を加えたという。冠動脈の石灰化、肝臓の脂肪蓄積、肺における気腫の程度、の3つをそれぞれ異なる機械学習アルゴリズムで評価し、これが心血管疾患発症および死亡の予測因子となるかを多変量解析によって調べた。種々の交絡因子を考慮しても、機械学習アルゴリズムによる各項目のスコアリングのうち、冠動脈石灰化と肝臓の脂肪蓄積については、統計学的有意に心血管疾患発症および死亡と関連していた。
本研究は撮像済みの低線量CT画像であっても、アルゴリズムの適用によって新たな臨床情報を付与できる可能性を示唆しており、医師の医学的判断の大きな助けとなる可能性がある。