低線量CTへのAI利用 – 心血管疾患リスクを推定

イスラエルのテルアビブ大学Zebra Medical Vision、米ユタ大学などの共同研究チームは、低線量CT画像を解析するAIアルゴリズムを利用し、心血管疾患リスクを推定できるとする研究成果をまとめた。

オープンアクセスジャーナルのPLOS ONEに3日掲載されたチームの研究論文によると、The National Lung Screening Trial(NLST)と呼ばれる低線量CTによる肺がんスクリーニング研究の患者データベースを用い、レトロスペクティブに解析を加えたという。冠動脈の石灰化、肝臓の脂肪蓄積、肺における気腫の程度、の3つをそれぞれ異なる機械学習アルゴリズムで評価し、これが心血管疾患発症および死亡の予測因子となるかを多変量解析によって調べた。種々の交絡因子を考慮しても、機械学習アルゴリズムによる各項目のスコアリングのうち、冠動脈石灰化と肝臓の脂肪蓄積については、統計学的有意に心血管疾患発症および死亡と関連していた。

本研究は撮像済みの低線量CT画像であっても、アルゴリズムの適用によって新たな臨床情報を付与できる可能性を示唆しており、医師の医学的判断の大きな助けとなる可能性がある。

前の記事精神・神経疾患の既存薬再開発「ドラッグリポジショニング」を行うAI手法研究
次の記事その息切れは心不全かCOVID-19か? – 米メイヨークリニックのAI拡張心電図
TOKYO analytica
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。