医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIによる新しい自閉症サブタイプの特定

AIによる新しい自閉症サブタイプの特定

米ノースウェスタン大学やハーバード大学などの共同研究チームは、AIによって強化された精密医療アプローチにより、自閉スペクトラム症における新しいサブタイプを特定したことを明らかにした。表出する症状から分類する古典的アプローチとは全く異なり、このサブタイプには分子生物学レベルでの明確な発症原因と機序があり、多次元的なエビデンスベースのサブタイプとして注目を集めている。

権威ある学術誌・Nature Medicineに10日、短報として掲載されたチームの研究論文によると、遺伝子データや電子カルテ記録、保険請求データ、動物モデルデータなど多様なデータをオーバレイするとともに、グラフクラスタリング分析を用いた自閉スペクトラム症の新しい分類を進めたという。チームは、親の脂質異常症が子における一部の自閉スペクトラム症と強い関連があることを見出し、後に実際の診断を受けた幼児の血中脂質プロファイルにも変化を確認した。これらの発見は、一部の自閉スペクトラム症に対する有効な早期スクリーニングと早期介入を実現できる可能性を示すものと言える。

Medical Xpressの取材に対し、研究を率いたYuan Luo氏は「今日現在、自閉症は症状のみに基づいて診断されており、発見段階では、適切な介入が加えられることなく既に脳発達の重要なフェーズが過ぎているケースが多かった。今回の研究成果は、自閉症治療におけるパラダイムシフトをもたらす可能性もある」とする。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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