医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例呼吸窮迫症候群の発生を事前予測する機械学習アルゴリズム

呼吸窮迫症候群の発生を事前予測する機械学習アルゴリズム

呼吸窮迫症候群(ARDS)は、種々の原因で肺に液体が貯留し、血中酸素レベルが急激に低下する重篤な病態を指す。急性呼吸不全に分類されるARDSは、迅速かつ適切な治療介入がなければ患者の多くが死に至るため、発生リスクの正確な推定は患者予後にとって非常に重要となる。米Dascena社と英ケンブリッジ大学などの研究チームは、臨床データからARDSの発生を事前予測する機械学習アルゴリズムを構築した。

ピアレビューの医学誌・The Journal of Critical Careにてオンライン公開されたチームの研究論文によると、9,919名の患者データベースをレトロスペクティブに解析し、本アルゴリズムを導いたという。個々の臨床所見や画像所見を代表する種々の数値情報から、ARDS発症の12-48時間前での高精度なリスク予測を実現した。

機械学習モデルにはGradient Tree Boostingを用いているが、これは複数の弱学習器から予測結果を統合して強学習器を導くいわゆる「アンサンブル学習」の1つで、近年ではKaggleなどの機械学習コンペでも頻用されている。電子カルテシステムへの実装によって、ARDSのハイリスクを早期に自動同定する本アルゴリズムは、特に重症患者を多く扱う高次医療の現場において需要が大きい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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