フランス・リモージュ大学などの研究チームは、造影剤のスパースな薬物動態データと限られた予測因子から、集中治療室(ICU)の患者における糸球体濾過量を推定する機械学習アルゴリズムを構築した。
Clinical Pharmacokineticsに14日公開されたチームの研究論文によると、86名のICU入院患者に対して、非イオン性造影剤として知られるイオヘキソールを静脈内投与した後、5・30・180・360・540・720・1080・1440分後の各時点で血液サンプルを採取したという。37の潜在的な予測因子を考慮した上で、ノンパラメトリック回帰である多変量適応型回帰スプラインと、決定木のアンサンブル法である勾配ブースティングから糸球体濾過量を推定する最良のアルゴリズムを導いた。結果的に、180分および720分の血中イオヘキソール濃度と3つの予測因子から、ICU患者における正確な糸球体濾過量の評価を可能とした。
糸球体濾過量はクレアチニンやイヌリンが一定時間内にどの程度尿中排泄されるか、あるいは血中残存があるかを測定することで、腎臓の濾過機能を評価するもの。項目としての臨床的な価値は高いが、正確な評価のためには長時間に渡って蓄尿を行う必要があり簡便な検査ではなかったため、本機械学習アプローチによる新しい評価法には今後の進展が期待されている。