医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AI技術でMRI検査のガドリニウム造影剤を10分の1に - Subtle Medical

AI技術でMRI検査のガドリニウム造影剤を10分の1に – Subtle Medical

ディープラーニングで画像検査を技術革新する米国スタートアップ Subtle Medical は、PET/CT検査の高速化技術で以前に紹介した(過去記事)。同社はMRI検査の造影剤ガドリニウムの必要投与量を大幅に減らすAIソフトウェア「SubtleGAD」の開発も手掛けている。

Subtle Medicalの13日付けプレスリリースによると、SubtleGADの開発に対し、アメリカ国立衛生研究所(NIH)からスモール・ビジネス・イノベーション研究(SBIR: Small Business Innovation Research)フェーズIIに承認され160万ドルの助成金を獲得した。

造影剤ガドリニウムは、腎性全身線維症の合併症や、脳などへの組織沈着が確認され、FDAから安全性への警告が出されている。SubtelGADはガドリニウム投与量を従来の10分の1に減らしても、AI技術によるノイズ除去と鮮明化によって、画像品質を低下させずに造影MRI検査を提供できる。造影剤使用が困難であった多くの慢性腎臓病患者に恩恵をもたらし、腎機能が正常な患者でもガドリニウムが体内に滞留するリスクの軽減が期待される。

Subtle Medical社は、米CB Insightsが行うAIスタートアップトップ100に選出され(過去記事)、さらに世界で最も有望なデジタルヘルス新興企業150(Digital Health 150)にも選ばれた。画像検査を革新する臨床研究成果を米国内外で発表し続け、同社はますます存在感を強めている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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