生後の乳児によく見られる発熱のうち、重篤な細菌感染症は約10%ほどという。医療者はリスクを恐れるため、多くの乳児が腰椎穿刺などの侵襲的な検査を受け、抗菌薬を投与され、不必要な入院をする可能性がある。学術誌 Pediatrics に「教師付き機械学習によって、生後60日齢以下の発熱した乳児の重篤な細菌感染症リスクが低い者を特定する」研究が発表された。
研究を主導した米シカゴにあるAnn & Robert H. Lurie Children’s Hospitalのニュースリリースでは、同研究を紹介している。発熱した乳児の重篤な細菌感染症を特定するため、4種の機械学習アルゴリズムが訓練された結果「ランダムフォレスト」が最も高い特異度74.9%と感度98.6%での識別精度を示した。腰椎穿刺を受けた1,240名の患児のうち、このモデルによって849名(68.5%)が検査を受けずに済む結果となる。
筆頭著者である小児救急医のSriram Ramgopal医師は「救急部では、どの乳児が重篤な細菌感染症かの判断と同時に、低リスクであることの判断も重要です」と語っている。同研究のような優れた感度を保ちながら偽陽性を減らすAIモデルによって、発熱した乳児が従来受けていた過剰なケアを軽減する可能性が拓かれている。