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コーネル大学 – ゾウリムシサイズの極小ロボットを「歩かせる」ことに成功

米コーネル大学が率いる共同研究チームは、標準的な電子信号を利用し、厚さ5ミクロン・長さ40-70ミクロン程度の極小ロボットを「歩かせる」ことに成功した。研究者たちは、極小ロボットの群れに生体内における組織間や血液中を自由に行き来させ、血管縫合を行わせるなどといった、医療分野における発展も視野に入れる。

コーネル大学による26日付ニュースリリースによると、ロボットはシリコン太陽電池と4つの電動アクチュエータから構成されるシンプルなものだという。研究の新規性は「極小の脚を作成したこと」にあるとしており、研究チームは厚さがわずか数十原子のプラチナストリップから脚を作成し、片面を不活性チタンの薄層で覆った。プラチナに正の電荷を加えると、負に帯電したイオンが露出面に吸着し電荷を中和するが、これらのイオンが「露出したプラチナを強制的に膨張させる」ことでストリップを屈曲させる仕組みとなっている。四肢の動きを制御するため、研究チームはストリップの上に硬質ポリマーパネルをパターン化して配列し、パネル間の隙間によって膝や足首と同等の関節機能を再現した。

ロボットは低電圧(200ミリボルト)・低電力(10ナノワット)で駆動するため、群での活動も特殊環境を必要としない。また、たった4インチ四方のシリコンウェハーが100万体相当のロボット素材となるほか、その製造プロセスは標準的なリソグラフィーに基づくため、大量生産にも困難がない。体表からロボット群を注入し、病巣部を直接治療する日が現実のものとなるのかもしれない。

なお、本研究成果はNatureにて26日公開されている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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