下垂体腺腫は脳下垂体部に発生する脳腫瘍の一種だが、そのうち非機能性下垂体腺腫(NFPA)はホルモンの産生・分泌がみられないものを指す。一方で、そのサイズが大きくなると周囲組織の圧排により臨床症状をきたすようになるが、このNFPAでは「明らかな術後再発因子が特定できていないこと」が問題となってきた。
ブラジル・サンパウロに所在する州立大学、サンパウロ大学の研究チームは、頭部MRI画像への機械学習モデルの適用により、術前画像から手術後のNFPA再発を予測するアルゴリズムを導出した。対象としたのはNFPA患者27名で、うち10名が術後再発を経験しており、画像データを含む各種臨床データをレトロスペクティブに解析した。3D画像ベースのモデルにおいては最大96.3%の正確度を達成し、NFPA予測における3Dラジオミクスの有用性を強調する。
NFPAに対する初回の外科手術後5年間において、12-66%の患者に再発がみられるとされ、正確な術後再発予測モデルの確立は疾患マネジメントの観点からも強く求められてきた。研究チームは対象集団を拡張し、有効性の検証を続けていく。なお、本研究成果はComputers in Biology and Medicineに収載される。