非機能性下垂体腺腫の術後再発を予測する機械学習手法

下垂体腺腫は脳下垂体部に発生する脳腫瘍の一種だが、そのうち非機能性下垂体腺腫(NFPA)はホルモンの産生・分泌がみられないものを指す。一方で、そのサイズが大きくなると周囲組織の圧排により臨床症状をきたすようになるが、このNFPAでは「明らかな術後再発因子が特定できていないこと」が問題となってきた。

ブラジル・サンパウロに所在する州立大学、サンパウロ大学の研究チームは、頭部MRI画像への機械学習モデルの適用により、術前画像から手術後のNFPA再発を予測するアルゴリズムを導出した。対象としたのはNFPA患者27名で、うち10名が術後再発を経験しており、画像データを含む各種臨床データをレトロスペクティブに解析した。3D画像ベースのモデルにおいては最大96.3%の正確度を達成し、NFPA予測における3Dラジオミクスの有用性を強調する。

NFPAに対する初回の外科手術後5年間において、12-66%の患者に再発がみられるとされ、正確な術後再発予測モデルの確立は疾患マネジメントの観点からも強く求められてきた。研究チームは対象集団を拡張し、有効性の検証を続けていく。なお、本研究成果はComputers in Biology and Medicineに収載される。

前の記事AIを用いた新しい設計思想で医療画像機器へのサイバー攻撃を防ぐ
次の記事Caption Health – AI超音波ガイドシステムにより「初めてでも専門家と同等の手技」
TOKYO analytica
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。