COVID-19の流行は社会的孤独をめぐる現状を浮き彫りにしており、孤独に対する技術について以前に紹介した(過去記事)。自己申告による孤独の評価には限界もあるため、表現される言語から感情を定量化するための自然言語処理が模索されている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校からのニュースリリースによると、同校の研究グループは「自然言語処理で高齢者の孤独感を評価する手法」を学術誌 American Journal of Geriatric Psychiatryに発表している。研究に参加した80人の高齢者へのインタビューから言語的特徴を抽出し、機械学習アプローチによって質的な孤独感を精度94%、量的な孤独感を精度76%で予測することができた。
同研究によると、孤独を抱える人は孤独についての直接的な質問に対して「悲しみの表現が多く、回答が長くなる」特徴があった。また女性は孤独を自認する傾向が強く、男性は恐怖と喜びに関する表現が多用される、という解析結果もあわせて示された。「孤独者のスピーチ」を解析する手法の社会実装が近づくことを実感させられる研究のひとつである。