社会的孤独をスピーチから解析する研究

COVID-19の流行は社会的孤独をめぐる現状を浮き彫りにしており、孤独に対する技術について以前に紹介した(過去記事)。自己申告による孤独の評価には限界もあるため、表現される言語から感情を定量化するための自然言語処理が模索されている。

カリフォルニア大学サンディエゴ校からのニュースリリースによると、同校の研究グループは「自然言語処理で高齢者の孤独感を評価する手法」を学術誌 American Journal of Geriatric Psychiatryに発表している。研究に参加した80人の高齢者へのインタビューから言語的特徴を抽出し、機械学習アプローチによって質的な孤独感を精度94%、量的な孤独感を精度76%で予測することができた。

同研究によると、孤独を抱える人は孤独についての直接的な質問に対して「悲しみの表現が多く、回答が長くなる」特徴があった。また女性は孤独を自認する傾向が強く、男性は恐怖と喜びに関する表現が多用される、という解析結果もあわせて示された。「孤独者のスピーチ」を解析する手法の社会実装が近づくことを実感させられる研究のひとつである。

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TOKYO analytica
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。