脳下垂体部の腫瘍によって、過剰な副腎皮質刺激ホルモンが分泌される疾患をクッシング病と呼ぶ。外科手術による腫瘍摘出は根治療法となり得る一方、全例が即時寛解(immediate remission, IR)となるわけではなく、術後の長期フォローアップによって寛解に至る遅延寛解(delayed remission, DR)が一定数にみられる。
北京協和医学院の研究チームは、クッシング病患者における術後DRを予測するための機械学習モデルの開発を行った。Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismで1日、オンライン公開されたチームの研究論文によると、当該アルゴリズムは201人のクッシング病患者データベースによって導かれたという。201人のうち43.8%にあたる88人がDRの基準を満たしていたが、「若年・低BMI・Knospグレード(下垂体腺腫の摘出度予測スケール)で3から4」といった特性を持つ場合にDR率が低くなっていた。RFEによって特徴量選択を行ったのち、18の特徴量を含むAdaboostモデルがDR予測において最大の識別能を示していた。また、この識別精度はKnospグレードと術後血清コルチゾール値を使用する場合よりも有意に優れていることが確認された。
本研究は、機械学習ベースの術後DR予測モデルが非侵襲的な評価アプローチとして機能する可能性を示しており、クッシング病患者の個別治療やフォローアップ戦略の策定において役立つことが期待される。