糞便から食生活を予測するAI研究

日々の食事内容は腸内細菌叢に直接的な影響を与える。これまで、血液や尿は栄養バイオマーカーの探索のために広く活用されてきたが、このほど、糞便から食生活を予測しようとする研究成果が公表された。

The Journal of Nutritionにて6日公開された論文によると、米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームは、健常成人285名からなる5つの研究データベースを活用して本研究成果を導いたという。研究では、特定の食品(アーモンド・アボカド・ブロッコリー・クルミなど)の摂食量を、糞便微生物叢から予測するランダムフォレストモデルを構築した。全体の分類精度は70%だったが、大麦とオートミールを1つの穀物カテゴリにまとめると、23の分類群に対して77%まで向上がみられた。同様に15の分類群に絞ることでは、85%までの精度改善がみられている。

研究チームは「健常成人の食物消費は、バイオマーカーとしての糞便細菌から予測することができる」とし、食生活指導や栄養研究におけるコンプライアンスの尺度としても利用できる可能性に言及している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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