乳がん検診におけるマンモグラフィの有用性は広く知られるが、適切な読影水準にある専門医の確保は世界的に十分ではなく、AIによる画像分析の可能性が広く模索されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のチームは、3つの市販AIアルゴリズムに対する外部評価を行い、研究成果を公表している。
アルゴリズム生成段階や初期の妥当性試験において「AIが医師の読影能力を上回った」とする成果公表は時折見かけるが、これまでに十分数の被験者をもって科学的に妥当な方法によって検証した外部評価はなかった。JAMA Oncologyに公表されたチームの研究論文によると、8,805名の女性からなるマンモグラフィスクリーニングコホートを活用したという。研究参加者の739名には実際に乳がんが確認されており、これらに対して3つの市販AIアルゴリズムによる検出試験を行ったところ、うち1つのアルゴリズムについては放射線科医の読影精度を有意に上回っていることが確認された。一方で、同研究中において乳がん陽性症例を最大数補足したのは、最良のアルゴリズムと放射線科医を組み合わせた場合だった。
研究の結論として「市販のAIアルゴリズムには、既に読影業務を牽引できる程度に高い診断性能を備えたものが存在する」とする一方で、医師との組み合わせが現状では最良の成果を導く点を指摘し、読影専門医の置き換えが急速に進む見立てのないことは明らかにしている。