医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例がん化学療法患者の血球数検査を家庭で - PixCell Medical社「HemoScreen」

がん化学療法患者の血球数検査を家庭で – PixCell Medical社「HemoScreen」

化学療法を受けるがん患者は、骨髄における造血機能の抑制から白血球・好中球・血小板といった血球成分が著しく減少する可能性がある。血球減少には感染症・貧血・出血といったリスクがあるため、患者に対しては定期的な全血球数(CBC)のモニタリングが必要となる。一方で、検査目的の通院は、疾患に伴って既に負担のかかっている患者にさらなる負荷となる。PixCell Medical社は、化学療法中の患者が家庭での検査を可能とするAI搭載の小型装置 HemoScreenを開発している。

PR Newswireで報じられたプレスリリースによると、HemoScreenが化学療法患者の血球数モニタリングに有用であることを実証するための査読付き研究がInternational Journal of Laboratory Hematologyに発表された。同装置は1滴の血液(約40μl)で6分以内に白血球・好中球・赤血球・血小板・ヘモグロビン濃度を測定可能とする。同研究では、HemoScreenの検査精度を既に妥当性の担保された大型装置(Sysmex社 XN-9000)と比較しており、相関係数としては0.90-0.95を示した。この結果から、著者らはHemoScreenが家庭や小規模診療所での使用に適した性能を有すると結論づけている。

同装置のような家庭でのCBCモニタリング手法の実現は、患者の通院負担を大幅に減らすことが期待できる。HemoScreenはFDA認証とCE認証を受けており、化学療法中のがん患者の血球検査におけるゲームチェンジャーになろうとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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