シンガポール・香港・韓国・オーストラリア・米国などからなる国際研究チームは、網膜画像から心血管疾患(CVD)発症リスクを推定するAIシステムを開発した。研究成果は今週、Nature Biomedical Engineeringから公開されている。
チームの研究論文によると、70,000を超える画像を含む多国横断的多民族データベースを利用し、網膜画像における網膜血管径の自動測定を実現する深層学習モデルの開発と検証を行ったという。専門家による血管径測定との比較において、同モデルは級内相関係数で0.82-0.95と高い一致率をみた。また、この深層学習モデルでは、血圧・BMI・総コレステロール・HbA1cといったCVDリスク因子との関連についても高いパフォーマンスを示しており、モデルで測定した網膜血管径からCVD発症を予測できる可能性が示唆された。実際に施行された前向き研究においては、本システムによるベースライン測定は、CVD発症を有意に予測することが確認されている。
研究チームは今後、臨床利用を前提とした「CVD予測のための説明可能な深層学習システム」の開発を目指す。なお、主要な研究データは論文中のsupplementary informationから、個人情報を含む情報を除き参照することができる。一方で、実際に利用されたカスタムコードは特許申請中につき、現在は閲覧できない。