米国立衛生研究所(NIH)は、「心臓移植を受ける患者の適合性を評価するAI」の開発プロジェクトに対し、320万ドルの研究助成を行うことを決めた。同研究はペンシルベニア大学やケースウェスタンリザーブ大学、クリーブランドクリニックなどからなる共同研究チームにより、4年間に渡って推進される大型プロジェクトとなる。
ドナー臓器を拒絶する免疫反応は、心臓移植における最も重大なリスクのひとつである。これまでも種々の予測手段が検討されてきたが、その予測精度は十分ではなかった。ペンシルベニア大学の公表によると、研究チームはAIを利用し、心臓生検組織画像から潜在的な拒絶可能性を分類するグレーディングを実現しようとしている。拒絶反応の事前予測はその後の治療プロトコルの最適化に直結するため、患者の予後改善・合併症予防にも期待が大きい。また、研究プロセスは免疫担当細胞による拒絶メカニズムの精緻な理解にもつながるため、より個別的な医薬品開発にもつながる可能性を指摘する。
研究を率いるKenneth Margulies医師は「この研究は、心臓移植の重要な要素である”患者の転機の改善”に焦点を当てている。末期心不全患者の増加が止まらない今、新規研究計画として正しいステップとなるものだ」と話す。