米メイヨークリニックの研究チームは、Googleのキーワード検索傾向から、COVID-19の感染拡大が危惧されるいわゆる「ホットスポット」を特定できるとする研究成果を公表した。論文はMayo Clinic Proceedingsに収載され、全文がオンライン公開されている。
本論文によると研究チームは、Google社が提供する「Google Trends」を利用し、COVID-19に関連した症状キーワード(喉の痛み・息切れ・倦怠感・咳)のほか、抗体、マスク、コロナウイルス検査センター、コロナウイルスワクチンなどといった関連ワードの検索傾向と、全米50州における実際の症例数との相関を調査した。研究成果からは、特定の地域で初発症例が報告される数日前から中等度の相関を示すようになり、それに続いて相関が減少する様子が確認された。
本研究成果はCOVID-19ホットスポットの推移と特定に役立つだけでなく、今後の新規感染症の発生モニタリングにおけるデジタル監視の有効性を示すものともなる。先行研究では、デング熱やジカウイルス、季節性インフルエンザ、麻疹などでデジタル監視の有効性が示されてきた(先行研究1, 2, 3, 4, 5)。一方で、著者らは国・地域単位での予測モデル確立が必要としており、よりドメスティックな検索エンジンを複数活用することで高い予測精度を達成できる点を強調する。日本においても容易に追試可能な研究デザインであるため、ぜひ読者からの取り組みにも期待したい。