院外で起きた心停止の生存率を機械学習で予測する試みに改良が加えられてきた。米国心臓協会(AHA: American Heart Association)は11月14日〜16日に蘇生科学シンポジウム2020を開催し、そこでのプレゼンテーションとして「地域データ使用で院外心停止後の患者の回復見通しをより正確に予測する機械学習アルゴリズム」が発表される。
AHAのニュースリリースでは同研究を紹介している。アルゴリズムは2014年〜2019年にシカゴと近隣地域で発生した約1万件の院外心停止症例データを基に開発された。そこにChicago Health Atlasと呼ばれる地域データベースから「犯罪率」「医療アクセス情報」「教育」など、コミュニティに関する情報が追加された。情報の統合により、患者の生存予測における平均再現率が84.5%から87%ほどに上昇した。
研究グループであるイリノイ大学シカゴ校のSamuel Harford氏は「一般公開データを用いた機械学習モデルの提供で、臨床転機の正確な予測に役立つ可能性を示せたことはエキサイティングなことです」と語る。今後は天候・交通・救急車ルート・社会経済状況のような因子をさらに検討する余地があると、研究者らは考察している。