医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIが体軸性脊椎炎における仙腸関節のX線評価を変革 - 米国リウマチ学会年次総会より

AIが体軸性脊椎炎における仙腸関節のX線評価を変革 – 米国リウマチ学会年次総会より

原因不詳の慢性炎症で腰背部痛が続く難病に「体軸性脊椎炎(AxSpA: Axial spondyloarthritis)」がある。AxSpAが疑われた場合、腰部にある仙腸関節のX線画像から国際分類基準による診断が行われる。しかし、X線画像による仙腸関節炎の評価には読影者によるバラつきや感度・特異度の限界が指摘されていた。そういったなか、米国リウマチ学会(ACR: American College of Rheumatology)の年次総会に発表された「X線画像による仙腸関節炎検出のためのAIアプローチの開発と検証」が注目されている。

ACRのプレスリリースでは、AxSpA診断のあり方を変革する可能性を秘めた同研究を紹介している。1,669枚のX線画像からトレーニングされたニューラルネットワークは、最終的なテストセット100枚に対して感度87%・特異度97%を達成し、X線画像上での仙腸関節炎検出に優れた性能を示した。

同研究グループのシャリテー – ベルリン医科大学リウマチ科部長Denis Poddubnyy教授は「世界の多くの地域では、従来のX線検査がAxSpA診断の最初で、時に唯一の方法となります。仙腸関節炎は評価者によって症例の半数に達するほどの評価不一致となることもあります。開発されたモデルは、臨床での意思決定と、研究面での患者分類の双方に役立つでしょう」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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