医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例院外心停止の生存予測AIを地域データで改善 - AHA 蘇生科学シンポジウム 2020

院外心停止の生存予測AIを地域データで改善 – AHA 蘇生科学シンポジウム 2020

院外で起きた心停止の生存率を機械学習で予測する試みに改良が加えられてきた。米国心臓協会(AHA: American Heart Association)は11月14日〜16日に蘇生科学シンポジウム2020を開催し、そこでのプレゼンテーションとして「地域データ使用で院外心停止後の患者の回復見通しをより正確に予測する機械学習アルゴリズム」が発表される。

AHAのニュースリリースでは同研究を紹介している。アルゴリズムは2014年〜2019年にシカゴと近隣地域で発生した約1万件の院外心停止症例データを基に開発された。そこにChicago Health Atlasと呼ばれる地域データベースから「犯罪率」「医療アクセス情報」「教育」など、コミュニティに関する情報が追加された。情報の統合により、患者の生存予測における平均再現率が84.5%から87%ほどに上昇した。

研究グループであるイリノイ大学シカゴ校のSamuel Harford氏は「一般公開データを用いた機械学習モデルの提供で、臨床転機の正確な予測に役立つ可能性を示せたことはエキサイティングなことです」と語る。今後は天候・交通・救急車ルート・社会経済状況のような因子をさらに検討する余地があると、研究者らは考察している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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