新型コロナウイルスの感染者数は世界で5000万人を超え、死者は100万人を上回る。適切なリソース分配と高リスク患者の特定のためには、高精度な転機予測モデルが求められている。このほど、米ニューヨーク市マンハッタンに所在するマウントサイナイ病院の研究チームから、COVID-19に伴う院内死亡を予測する機械学習モデルが報告された。大規模な前向き患者コホートから得られた初の知見として、大きな注目を集めている。
Journal of Medical Internet Research(JMIR)に公表されたチームの研究論文によると、本年3月からの3ヶ月間にニューヨーク市内5病院に入院したCOVID-19陽性患者4,098名の診療記録を用い、同モデルの構築と検証が行われたという。実際のモデルトレーニングに使われたのは単一施設の患者1,514名のデータで、その後4施設での妥当性検証、および5月以降は383名に対して前向き調査が実施されている。チームはXGBoost(勾配ブースティング決定木のアルゴリズムを実装したオープンソースライブラリ)を利用し、既往歴やバイタルサイン、入院時検査結果などから入院後3・5・7・10日での高精度な死亡予測モデルを導いた。
依然として危機の続く医療現場において、患者トリアージと効果的なケア計画策定に資する本研究成果は大きな意味を持つ。研究チームは、ツールの普及を見据えた予測モデルの更なる精度向上を狙い、研究計画を継続する旨を明らかにしている。