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DORGE – がん進行に影響を与える遺伝子を検出するAIアルゴリズム

悪政新生物(がん)は、細胞分裂とアポトーシスのバランスを崩す遺伝学的変化の蓄積でもある。正常細胞のがん化を促す「がん遺伝子」と、がん発生を抑制するタンパク質をコードする「がん抑制遺伝子」は、がん発生の理解において重要な役割を果たしている。米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームはこのほど、独自のAIアルゴリズムを利用し、これまでに検出されていなかった新しいがん遺伝子の特定に成功した。

Science Advancesにて先週公開された研究論文によると、DORGEと呼ばれるこのアルゴリズムによって予測されたがん遺伝子が、既知のものだけでなく、これまでに報告されてこなかった新しい遺伝子を含むことを示している。また、DORGEは、一部の遺伝子を「がん遺伝子とがん抑制遺伝子としての両方の機能を有する二重機能遺伝子」と予測しており、これがタンパク質間相互作用および薬物・化合物遺伝子ネットワークのハブで高度に濃縮されている事実も発見した。DORGEは既存の10の分析アルゴリズムと比較し、がん遺伝子予測機能について最高精度を示している。

今月JAMA Oncologyに発表されたメイヨークリニックのチームによる研究報告では、広範な遺伝子検査によって遺伝子変異を特定することは、がん患者における精密医療を加速できる可能性が強調されるなど、遺伝学とビッグデータ解析によるデータアプローチによって今、がん医療に巨大なイノベーションがもたらされようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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