オピオイドへの依存・乱用を示す「オピオイド使用障害(OUD)」は、世界1600万人の罹患が推定されている。OUDはその疾患特性・社会背景から診断の遅れと見逃しが問題となってきた。イスラエル・アリエル大学の研究チームは、OUDの早期診断を実現する機械学習アルゴリズムの構築を目指している。
Pharmacology Research & Perspectivesに16日掲載されたチームの研究論文によると、2006年から2018年までにレセプトデータベースに収集された55万人の患者記録から、1000万件もの医療保険請求データを分析することで本アルゴリズムを導いたという。436の予測因子候補を、患者属性・全身状態・診断・投薬・医療費・エピソードなど6つの機能グループに分類した上で、Word2VecとGradient Boostingtreesによるモデル構築を行った。得られた最良のモデルではc統計量として0.959、感度0.85、特異度0.882を示していた。
チームは本アルゴリズムの利用によって「OUD診断までの期間を平均で14.4ヶ月短縮できること、罹患率・死亡率を低減する可能性と、これらを通した医療費削減効果」を強調している。2003年から2013年までの10年間においても、米国ではOUD患者が50%増加するなど急速な事態悪化をみており、本ツールが有効な技術的対策の一つとなるか注目が集まっている。