種々のAIシステムは人々の健康から安全管理、利便性向上まであらゆる場面に活用されるようになった。一方で、複雑で重要な意思決定の場において、盲目的に信用できるほどの高い信頼性を得ているシステムは未だ限定的である。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、利用データの質からニューラルネットワークが示す結果の確からしさを評価する新しい手法を開発した。
MITが20日明らかにしたところによると、deep evidential regressionと名付けられた同手法では、何らかの答えを生むネットワークの構築に際して、1回のみの実行結果からその決定の確からしさをサポートする”エビデンス”の確率分布を生成する。evidential distribution(証拠分布)は予測モデルの信頼性を直接的に評価していることとなる。この確率分布はニューラルネットワーク自体を微調整することで不確実性を減らすことができるかどうか、または入力データにノイズが多いのかどうかを判断する拠り所ともなる。
ニューラルネットワークの不確実性分析は新しい技術ではない。しかし、ベイジアンディープラーニング以前のアプローチでは、信頼性評価がニューラルネットワークの実行とサンプリングに過度に依存していたため、そのプロセスには多大な時間とメモリを必要とした。今後、ニューラルネットワークはさらに大規模になることが予想されており、時として数十億のパラメータで溢れるモデルが扱われることになる。研究チームが開発した単回の実行結果から確からしさを評する技術は、今後その重要性を高める可能性から研究者コミュニティからの大きな注目を集めている。