医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例肺塞栓症のAI画像診断を改善 - AidocとImbioのシステム統合

肺塞栓症のAI画像診断を改善 – AidocとImbioのシステム統合

肺の血管に血栓が詰まる致死的な病気「肺塞栓症」は、米国内で年間最大20万人の死亡原因と推算されている。肺塞栓症の早期検出が救命可能性を改善することは多くの研究で知られており、このワークフローにAI主導のトリアージが有益であるとして各種の技術開発が進められてきた。

AI画像診断で業界をリードするAidoc社ニュースリリースによると、同社は画像解析システムのプロバイダーであるImbio社とのパートナーシップで「肺塞栓症の検出と治療転機の改善を目的とした統合AIシステム」を提供することを発表している。もともとAidocは、CTスキャンから肺塞栓症が疑われる患者をリアルタイムで通知する診断AIで既にFDA承認を受けていた。そこにImbio社のRV/LV比を自動計算し定量評価する解析プログラムを統合して、肺塞栓症患者の重症度評価を改善しその後の早期治療と予後改善につなげることを目標としている。

RV/LV比は心臓における右室(RV)と左室(LV)の短径比を計測して右心系にかかる異常な負荷を検知するもので、肺塞栓症における早期診断の指標として臨床で活用されている。そのため、同指標の解析結果が肺塞栓の自動診断ワークフローに統合されることは理にかなう。AidocとImbioのパートナーシップは、複数のAIの価値を統合し臨床ニーズにあわせて提供されるひとつの理想的な形と言えるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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