AIによる肝細胞がんの予後予測 – システマティックレビュー

肝細胞がん(HCC)における治療後の予後予測は広く検討が進められてきたが、近年のAIアプローチは従来のシンプルな線形解析に比して高精度な予測可能性が指摘されている。イタリア屈指の名門大学であるローマ・ラ・サピエンツァ大学などの研究チームは、HCC治療後の予後予測についてAIの果たす役割を調査したシステマティックレビューを公開した。

World Journal of Gastroenterologyに掲載されたチームの研究論文によると、メタアナリシスガイドラインに従い、人工知能・深層学習・肝細胞がんといったキーワードからウェブベースの文献検索を実施した。スクリーニングされた598の論文のうち、9つが選択基準を完全に満たし、6つについてはバイアスの内包リスクが低いと判断された。患者のサンプルサイズは11から2万と非常に不均一であったが、6つの研究で人工ニューラルネットワーク(ANN)が含まれており、残り3つではサポートベクターマシンやArtificial Plant Optimizationアルゴリズム(APOA)などが確認された。いずれのケースでも、トレーニングコホートからモデルをトレーニングし、検証コホートにおいて精度確認が行われる慣習的手法であった。AIモデルは全ての場合において、従来型の統計モデルに比べて優れた予測パフォーマンスを示していた。

HCC治療後の生存予測においては、古典的な統計手法によって構築される従来型の予測モデルを上回る可能性が高いと結論付けており、研究チームは同手法の普及促進と他疾患における拡張にも期待を示している。

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TOKYO analytica
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。