世界的に、緑内障は主要な失明原因のひとつとして知られている。緑内障治療の根幹は点眼による眼圧コントロールにあるが、より早期のリスク評価によって眼圧変化を予防、あるいは平坦化させることで緑内障に伴う失明を回避できる可能性が指摘されてきた。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの研究チームは、遺伝情報を加えた精緻な緑内障発症に関するリスク予測モデルの構築を目指している。
オハイオ州立大学によるニュースリリースによると、これまで緑内障発症の高リスク者を高精度に特定するためには、個人の眼圧データを十分量サンプリングする必要があった。しかし、これは検査そのものの実施機会、および眼圧プロファイルの個人間でのバラツキのため、必ずしも適切なスクリーニング手段とはならないという。同大学の眼科学分野で准教授を務めるRaymond Gao氏は、眼圧の遺伝学的構造を研究しており、緑内障に関する遺伝的リスクの予測モデル開発を進めている。研究チームは、眼圧に関連付けられる遺伝子の組み合わせから、眼圧スパイクが発生し得る個人と、より平坦な眼圧推移を示す個人の予測が可能である点に言及する。
近年、AIアプローチによって、緑内障の診断と進行分析は急速にその質を向上させている(過去記事)。新たな緑内障スクリーニング手段も種々提唱されるなか、遺伝学は緑内障の予防・診断・治療にどのような役割を果たすか、大きな注目を集めている。