医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例皮膚疾患診断AI「DermExpert」 - プライマリケア支援と有色人種の診断精度に自信

皮膚疾患診断AI「DermExpert」 – プライマリケア支援と有色人種の診断精度に自信

患者全体の4分の1以上が何らかの皮膚トラブルを抱えているとの報告があり、実際の現場で医師はその専門分野に関わらず皮膚疾患を識別しなければならない状況が生じる。皮膚疾患診断でプライマリケア医を支援するスマホ対応のAIツールとして、VisualDx社の「DermExpert」がリリースされている。

学術誌 Journal of Investigative Dermatologyに論文掲載された研究では、DermExpertの診断能力が検証された。皮膚疾患データバンク画像からの検証では、補助なしのプライマリケア医で診断精度36%、そこに簡単な視覚的補助を加えると68%となった。一方、DermExpert単独では最も可能性の高い疾患ひとつを挙げた際に診断精度68%を達成しており、鑑別疾患トップ3まで範囲を広げると精度80%であった。

DermExpertは様々な皮膚タイプに対応可能なアルゴリズムを有し、肌の色調が薄い人と濃い人で比較した際にも同等の効果を示した。AI領域でも人種差・健康格差の課題があり、解決が模索され続けている。Business Wire掲載のプレスリリースにおいて、VisualDxのCEOであるArt Papier博士は「DermExpertのプラットフォームで、特に有色人種の皮膚疾患診断を支援する能力が認められたことを大変誇りに思います」と語っている。

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事