医療の技術訓練は、指導者によってフィードバックに差が生じ、主観的な評価に依存している。指導者と訓練生の双方がタスクをどれだけうまくこなせているか客観的に観察し、パフォーマンスを定量評価するための訓練システムが、米国防総省において開発されている。
医療訓練システムを提供している米Southwest Research Institute(SwRI)のプレスリリースによると、開発中のシステムはアスリートの動きなどの解析に用いられている技術「マーカーレス・モーション・キャプチャー」を応用している。これは3Dの動きをデータとして取り込む際に、被験者の体に物理的なマーカーを装着するプロセスを不要とするもの。専門家が傷を縫合する時などの正確な手の動きや体の向きを機械学習に基づいて処理し、定量化された精密動作のパフォーマンスを、訓練生のものと比較して自動でフィードバックするという。
国防総省では訓練システムを米軍の医療従事者に適用して、教育プログラムを改善しようとしている。米軍の医療従事者教育を行うUniformed Services Universityが研究に協力しており、これまでの医療訓練プログラムなどからデータを収集してアルゴリズムに反映している。医学教育への先端技術の応用例は英国のVR技術(過去記事)も参照いただきたい。