医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例呼気でCOVID-19感染検出とワクチン効果のモニタリング

呼気でCOVID-19感染検出とワクチン効果のモニタリング

COVID-19を呼気で検出する試みは以前にも紹介した(過去記事)。日本国内でも東北大学と島津製作所の共同研究で同様の検査法が開発されている。イスラエルのNextGen Biomed社とScentech Medical社は、呼気からのCOVID-19検出システムによってワクチン接種者の抗体の種類と抗体価をモニタリングする臨床研究の開始を発表した。

PR Newswire掲載の1月4日付プレスリリースによると、Scentech Medicalの技術は呼気中の揮発性有機化合物(VOC: Volatile Organic Compounds)からCOVID-19の感染者・活動性の患者・無症候性キャリアといったグループの違いを検出できる。そこからさらにワクチン接種者に発現した抗体の種類(IgMおよびIgG)や抗体価が検出可能であり、「ワクチンの有効性および持続期間のモニタリング」という今後必須の課題に取り組むため、臨床試験の承認を受け開始している。Pfizer-BioNTechのワクチンをはじめとし、市販されるすべてのワクチンを対象とした免疫モニタリング手法の確立を目指すという。

呼気からの疾患モニタリングは、非侵襲的でリアルタイムの検出を可能とし、かつ低コストも追求できるとして注目されている。Scentech Medical社では、同社の機器で収集したデータから感染拡大の監視や変異種ウイルスを検出するAI解析システムにも取り組んでおり、ローカルからグローバルまで技術の展開を狙っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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