病理検査におけるクラウド化とAI画像解析は大きな世界的潮流となってきた。高齢化と疾病発生数の上昇が、病理診断の作業効率を圧迫して病理医の負担増をまねいている側面があり、高度なデジタル化は最重要課題のひとつとされている。
PR Newswire掲載の21日付リリースによると、オランダ最大級の病理検査機関「Pathan」は、フィンランド=ヘルシンキ大学からのスピンオフとして知られる医療AIソフトウェア企業「Aiforia」と提携し、病理検査用AIモデルの構築を進めることで検査機関のワークフローを強化することを発表している。Pathanだけでも年間11万件の検査依頼を処理しており、開発されるAIによって診断の精度とスピード向上が期待される。まずは比較的容易とされるAIモデルの例として、胃潰瘍や胃がんの原因となるピロリ菌、結核などの原因である抗酸菌といった対象を検出するスクリーニングAIから取り掛かる。その後に順次、腫瘍の悪性度・免疫染色の定量評価・脈管浸潤といったものの診断支援アルゴリズムの開発に進むという。
今回の提携で構築されるAIモデルは欧州の体外診断用医療機器認証(CE-IVD)取得を目指している。PathanのディレクターであるArlinke Bokhorst氏は「今後20年間でがん患者数が大幅に増加するという予測をふまえ、病理診断プロセスの将来的な組織化においてAIが提供できる機会をよく理解していきたい」と語っている。