医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例Seed Health - 便を評価するAI企業「auggi」を買収

Seed Health – 便を評価するAI企業「auggi」を買収

便の性状や硬さを7つのカテゴリに分類する「ブリストルスケール」は主観的であり、一貫性のある評価が難しい課題があった。画像認識AIの隆盛で、ブリストルスケールの自動識別機能を有するスマートトイレ構想がスタンフォード大を中心としたグループから発表され話題となった(過去記事2020/04/13)。

微生物学を専門とする米 Seed Health社からPR Newswireに掲載された8日付ニュースリリースによると、同社は便の画像をAIで解析する企業 auggi社の買収を発表した。auggiは世界最大級の便の画像バンクを有し、ブリストルスケールについてはディープニューラルネットワークで94.07%の識別精度を謳う(一般人の自己申告では75%の精度)。Seed Healthは主幹製品として、健康に好影響を与えるとされる微生物、いわゆるプロバイオティクス製剤の「DS-01」を展開している。そのDS-01が過敏性腸症候群(IBS)や便秘、あるいは抗菌薬使用後の腸内細菌叢に与える影響を評価する米国内第II相臨床試験でも、auggi社の便評価技術が導入されている。

Seed HealthのCEOであるAra Katz氏は「便は消化管の健康状態を示す最も貴重なバイオマーカーでありながら、汚名を着せられてきた」と語る。Seed Healthは今回の買収によってauggiのビジョンと技術資産を取り込み、2021年中にはAIと便データベースを活用した一般消費者向けデジタル製品を発売する予定とのことである。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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