通常よりも早期からみられる性的成熟を思春期早発症と呼ぶ。なかでも中枢性思春期早発症(CPP)は女児に高頻度にみられ、下垂体からのゴナドトロピン放出が早期に行われることで引き起こされる。CPPは一過性に身長の急激な伸びを認めるが、正常児に比べて最終的には低身長となりやすいことも知られている。下垂体や視床下部に発生する腫瘍を原因とすることもあり、早期の発見と適切な原因検索、治療が欠かせない。
中国・広州医科大学の研究チームは、CPPリスクの高い女児を識別するため、機械学習アプローチを用いた研究に取り組んでいる。JAMIA Openに掲載されたチームの研究論文によると、8歳より前に第二次性徴があり、GnRHテストを受けた女性患者の血液検査結果・画像データを含む臨床データからこのアルゴリズムを導いたという。機械学習モデルにはXGBoost分類器が用いられ、患者をCPPまたは非CPPと識別するできるようトレーニングを行った。マルチソースデータに基づくこのアルゴリズムはAUC 0.88を達成しており、GnRHテストを行う前に一般的な臨床データからCPPリスクを推定できる可能性を示唆していた。
当該アルゴリズムは児童を対象とした健康診断システム等に組み込むことにより、専門検査を行うことなく、効果的なCPPスクリーニングを実現する可能性がある。深刻なケースでは知的発達の遅れをきたすこともある本疾患への、有望な技術的アプローチとして期待が大きい。