膵臓がんの1つ、膵神経内分泌腫瘍(PanNET)における患者予後は大きく異なり、その大部分が転移の有無に規定される。一方で、PanNETにおける病理学的な形態ベースの予後マーカーはないため、転移リスクを推定するモデル開発が求められてきた。米ジョージア州立大学の研究チームは、組織画像からPanNETの転移を予測する深層学習モデルを開発している。
Frontiers in Oncologyに収載されたチームの研究論文によると、89名のPanNET患者から外科的に切除された組織のデジタル画像を利用し、この深層学習モデルを開発したという。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をトレーニングし、各タイルをPanNET・間質・正常膵実質・脂肪に識別させた。さらに、がんまたは間質タイルと患者の転移ステータスから、領域ベースの転移リスクスコアを算出させることに成功した。
研究チームは「PanNETスライドから高精度に転移リスクを推定できる。これは、PanNET組織における予後の形態学的パターンが存在することを示唆している」とした上で、研究成果はPanNET治療における臨床的意思決定を支援する指針となる可能性があることを強調している。