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Twintの活用 – 新型コロナワクチンに対するインド国民の感情分析

インド政府はCOVID-19の危機を早期に終焉へと導くため、集団予防接種プログラムを展開している。一方で、予防接種自体は必須ではないため、プログラムの成功には国民感情が重要な鍵となる。南インドに所在する国立工科大学(NIT)の研究チームは、Twitterへの投稿データから新型コロナワクチンに対する態度と感情を分析する機械学習研究を行っている。

Diabetes & Metabolic Syndrome: Clinical Research & Reviewsに掲載されたチームの研究論文によると、PythonライブラリであるTwintを利用し、「COVIDワクチン」という単語を含むツイートを網羅的に抽出し、AIアプローチによる解析を加えたという。結果、47%が中立的なトーン、17%が否定的なトーンであったことが明らかにされ、ワクチンに肯定的な立場を取る人は全体の35%強にとどまっていた。このことから研究チームは「インド政府はプログラムの実施前にまず、ワクチンに対する恐怖に対処することが欠かせない」点を強調している。

ツイート内容をスクレイピングして、傾向分析によって有用な医学的知見を導出する研究成果が近年多くみられる。一般的にはTwitter APIによって抽出作業を行うが、申請時にやや煩雑な作業を要するため、APIを介さずにTwitterプロファイルからツイートをスクレイピングできるTwintの価値は高い。また、Twintには地理的フィルタリングのオプションがあるため、容易に発信地域を限定した投稿データ収集を可能とする。Twintを活用し、当メディアの読者からも積極的な近傍研究への参画のあることを期待したい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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