医療AIで新型コロナウイルスに立ち向かう最新テクノロジー(過去記事参照)は日々更新され、人類の英知が結集している。一方、ケンブリッジ大学拠点の研究機関 Leverhulme Centre for the Future of Intelligence(CFI)の専門家らは、拙速なAIアプローチの倫理的な課題に警鐘を鳴らす。CFIのニュースリリースでは、同研究所からBritish Medical Journalに新たに発表された2篇の論文を紹介している。
1本目は「COVID-19に取り組むための倫理的なAI活用」について述べた論文である。迅速で大規模なAIの展開の中で技術の利点が有害事象によって相殺されてしまう危険と、AIに対する社会全体の信頼が失われてしまう危険があるため、AI活用の当初から一貫した倫理的アプローチを採用する重要性を説いている。2本目は「AIがCOVID-19におけるヘルスケアで不平等を増大させる危険」について述べた論文である。AIの設計自体が、既存の不平等を助長してしまうようなバイアスの影響を受けやすいリスクについて主張している。
CFIのディレクターで論文著者のひとりであるStephen Cave氏は「危機的状況下で倫理的要件を緩和することは、意図しない有害な結果をもたらし、それはパンデミックの期間を超えて続くかもしれない」と述べ、大規模な危機であるからこその、AI技術適用の公平性と公正性の重要性を指摘している。