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初期CT画像から急性呼吸窮迫症候群の発症を予測する機械学習モデル

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は敗血症や肺炎など多様な疾患を原因として、血管透過性亢進のために肺に液体が貯留し、血中酸素レベルが高度に低下するもの。死亡率は40%を超えるともされ、患者予後の改善のためには早期の治療介入が欠かせない。オーストリア・ウィーン医科大学の研究チームは、多発外傷で入院した患者の初期CT画像からARDS発症を予測する機械学習モデルの開発を行っている。

European Radiologyから17日公開されたチームの研究論文によると、外傷重症度スコア(ISS)が16以上の123名の患者データからモデル構築を行ったという。受傷後1時間以内に撮影されたCT画像を用い、ディープラーニングベースのアルゴリズムによって、エアポケットや胸水を含むエリアを自動的にセグメント化した。その後、ラジオミクスの特徴抽出を行い、勾配ブースティング決定木をトレーニングしてARDS予測モデルを導いた。結果、AUCは0.79となり、ISSの0.66を大きく上回る識別精度を示していた。

本研究が興味深いのは、実臨床に沿ったより現実的なスキャンプロトコルにも関わらず、導出されたモデルでは従前のスコアを精度として有意に改善する点である。多発外傷におけるCT撮影は一般的であるため、初期画像からARDSリスクを明らかにすることは治療管理計画の策定に大きく資する可能性がある。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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